弁護士法人 オリオン法律事務所 川崎支部
〒210-0006 神奈川県川崎市川崎区砂子1丁目7-1 DK KAWASAKI Bld.7階
JR川崎駅から徒歩5分 / 京急川崎駅から徒歩2分)

受付時間

平日9:30~20:00/土日祝9:30~17:30
夜間・土日祝のご相談も対応しております。
ご都合に合わせてご相談くださいませ。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

044-222-3288
友だち追加

シートベルト不着用と過失相殺

1. シートベルト不着用に基づく過失相殺の概要

交通事故の際、シートベルトを装着していなかった場合、事故による損害の発生や拡大に寄与したとみなされることがあり、この場合、被害者側に過失があったとされ、賠償額が減額されることがあります。この減額は、被害者が自己の安全を守るための基本的な義務を果たしていなかったという理由に基づいています。

シートベルトは運転者や同乗者の生命や身体を保護するための基本的な安全装置であり、これを装着していなかった場合、その者は損害の発生や拡大を防ぐための努力を怠ったと評価されます。裁判実務においても、この考え方に基づき、シートベルト不着用が過失相殺の理由として認められています。

2. シートベルト不着用の法律上の位置づけ

道路交通法において、シートベルトの装着は運転者および前部座席の同乗者には義務付けられていますが、後部座席の同乗者に関しては、改正前までは努力義務とされていました。そのため、後部座席の同乗者がシートベルトを装着していなかった場合の過失相殺については、以前の裁判例では賛否が分かれていました。

しかし、法改正により後部座席のシートベルト装着が義務化されたことにより、近年では後部座席の同乗者がシートベルトを装着していなかった場合も過失相殺が認められる例が増えてきています。現行の道路交通法では、全ての座席でシートベルトの装着が義務化されているため、シートベルト不着用に対する過失相殺がさらに厳格に適用されるようになりました。

3. シートベルト不着用が認められた場合の過失相殺

シートベルト不着用による過失相殺が認められる場合、その減額割合は5%から20%程度が一般的です。裁判所は、事故状況やシートベルト不着用が損害に与えた影響を総合的に判断して減額の程度を決定します。以下に、シートベルト不着用が問題となるいくつかの具体的なケースを挙げます。

 

(1) 因果関係の有無

シートベルト不着用が事故による損害の発生や拡大に直接寄与した場合、過失相殺が認められることが多いです。例えば、シートベルトを装着していれば死亡や重傷を防ぐことができたと判断された場合、賠償額が減額されることになります。

一方、事故の態様によっては、シートベルトの不着用が損害に影響を与えなかったと判断される場合もあります。例えば、事故による衝撃が非常に大きく、シートベルトを着用していても損害を避けられなかったと認められる場合、過失相殺は否定されることがあります。

 

(2) 装着義務のある座席かどうか

前部座席の同乗者はシートベルトの装着が法律で義務付けられているため、装着していなかった場合は過失相殺が認められやすいです。一方、後部座席の同乗者に関しては、シートベルトの装着義務が改正前までは努力義務に留まっていたため、過去の裁判例では減額が否定された例もあります。しかし、法改正後は後部座席においてもシートベルトの不着用による過失相殺が認められるようになっています。

 

(3) 運転者と同乗者の関係

シートベルト不着用による過失相殺の判断においては、運転者と同乗者の関係も考慮されます。特に、運転者がシートベルトを装着する義務を負っている場合、運転者が同乗者にシートベルトを装着させるべき責任があると認められることがあります。この場合、同乗者の過失だけでなく、運転者の過失も考慮されるため、過失相殺の程度が抑えられることがあります。

例えば、同乗者がシートベルトを着用しないまま運転を続けたことについて運転者が何も注意を促さなかった場合、運転者側の過失が重く評価され、同乗者に対する過失相殺が軽減されることがあります。

 

(4) 事故態様や損害の程度

シートベルト不着用による過失相殺の判断には、事故の態様や損害の程度も重要な要素となります。例えば、高速道路での重大な事故や、損害が甚大であった場合、シートベルト不着用が損害の拡大に寄与したと判断されやすくなります。逆に、事故が軽微でシートベルトの不着用が損害にほとんど影響を与えなかった場合は、過失相殺が認められないこともあります。

4. シートベルト不着用に基づく過失相殺が否定される場合

シートベルト不着用が必ず過失相殺に繋がるわけではありません。以下のような場合、シートベルト不着用による過失相殺が否定されることがあります。

 

(1) 因果関係が否定される場合

シートベルト不着用が損害の発生や拡大に寄与していない場合、過失相殺は認められません。例えば、事故の衝撃が非常に大きく、シートベルトを着用していても損害を回避できなかったと判断される場合や、車両の損傷が極端でシートベルトが機能しなかった場合などは、シートベルト不着用が損害に影響を与えたとは言えないため、過失相殺が否定されます。

 

(2) 運転者側の過失が重大な場合

運転者側の過失が極めて重大である場合、シートベルト不着用による過失相殺が認められないことがあります。例えば、運転者が極端に無謀な運転をしていたり、飲酒や薬物使用が原因で事故を引き起こした場合には、運転者の過失が圧倒的に大きいとされ、同乗者のシートベルト不着用が過失相殺の理由とはならないことがあります。

 

(3) 特別な事情がある場合

同乗者にシートベルトを装着させるべき特別な事情があったにもかかわらず、それが行われなかった場合、過失相殺が認められないことがあります。例えば、運転者が同乗者にシートベルトの着用を促すべき立場にあった場合や、同乗者がシートベルトを着用できない状況にあった場合などが該当します。

5. シートベルト不着用による過失相殺の裁判例

シートベルト不着用に基づく過失相殺が認められた、あるいは否定された裁判例が数多く存在しています。これらの裁判例から、シートベルト不着用が損害にどのように影響し、どのような状況で過失相殺が認められるのかが明確にされています。

例えば、前部座席でシートベルトを着用していなかったことが原因で重傷を負った同乗者に対して過失相殺が認められたケースや、後部座席の同乗者にシートベルト不着用を理由とする過失相殺が適用されたケースがあります。また、シートベルト不着用と事故の損害との間に因果関係がないと認められ、過失相殺が否定されたケースもあります。

シートベルト不着用に基づく過失相殺は、被害者の損害がシートベルトを着用していれば防げた、または軽減できた場合に適用されます。裁判実務では、事故の態様やシートベルトの不着用が損害に与えた影響を個別に検討し、過失相殺が認められるかどうかが判断されます。一般的には、5%から20%程度の過失相殺が適用されることが多く、シートベルト不着用が損害に直接影響を与えなかった場合や、運転者側の過失が重大である場合には、過失相殺が否定されることもあります。

シートベルト不着用に関しては弁護士法人オリオン法律事務所にご相談ください。

弁護士法人オリオン川崎支部へのお問い合わせ

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
044-222-3288
受付時間
平日9:30~20:00/土日祝9:30~17:30
夜間・土日祝のご相談も対応しております。
定休日
8/15・12/31~1/3

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

044-222-3288

<受付時間>
平日9:30~20:00/土日祝9:30~17:30
夜間・土日祝のご相談も対応しております。

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

弁護士法人 オリオン法律事務所 川崎支部

住所

〒210-0006 神奈川県川崎市川崎区砂子1丁目7-1 DK KAWASAKI Bld.7階

アクセス

JR川崎駅から徒歩5分
京急川崎駅から徒歩2分

受付時間

平日9:30~20:00/土日祝9:30~17:00
夜間・土日祝のご相談も対応。
ご都合に合わせてご相談くださいませ。

定休日

8/15・12/31~1/3