弁護士法人 オリオン法律事務所 川崎支部
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好意同乗減額は、加害者が運転する車両に被害者が無償で同乗していた場合、同乗の経緯や態様に基づき、被害者に対する損害賠償額が減額される考え方です。好意同乗減額は、民法722条2項の過失相殺の規定やその類推適用に基づくものとされています。
ただし、単に加害者の車に無償で同乗したというだけでは、減額が認められるわけではありません。減額が認められるためには、事故発生のリスクが高い状況で、被害者がそのリスクを認識しながらもあえて同乗した場合や、同乗者自身が事故を招くような状況を作り出した場合など、非難されるべき事情がある必要があります。
運転者の飲酒
飲酒運転をしている運転者の車両に同乗していた場合、運転者の飲酒を知っていながら同乗した同乗者の損害に対しては、通常減額が認められます。これは、飲酒運転の危険性が高く、同乗者がその危険を知りながらもあえて同乗したことが非難されるためです。飲酒運転の危険性は近年特に重視されており、同乗者が飲酒を認識していた場合、減額はほぼ避けられません。
運転者の過労や睡眠不足
過労や睡眠不足が原因で運転ミスが起こりやすくなることが一般的に知られています。運転者が疲労や睡眠不足の状態であることを知りながら同乗した場合、同様に減額が認められるケースが多く見られます。これに対して、過労や睡眠不足のリスクを同乗者が認識できなかった場合や、運転者が交代可能な状態であると認識されていた場合は、減額が否定されることもあります。
運転者の無免許や未熟な運転技術
運転者が無免許であることを知りながら同乗した場合や、運転技術が未熟であることを知って同乗した場合には、事故の発生リスクが高いため、減額が認められることがあります。同乗者がそのようなリスクを承知していた場合、同乗者にはある程度の責任があると評価されます。
運転者の反規範的な運転態度
事故の発生前に運転者の乱暴な運転を経験していた場合や、スピードの出しすぎなど危険な運転を繰り返していたことを知りながら同乗した場合も、減額が認められることがあります。特に、同乗者が以前にもその運転者の危険な運転に同乗していた経験がある場合、同様の危険を予見できたとされ、非難される要素となります。
定員外乗車や危険な同乗態様
同乗者が定員外乗車をしていたり、助手席の膝の上に座ったり、窓枠から上半身を出す「箱乗り」をしていた場合など、同乗の態様が明らかに危険である場合も、減額が認められます。これらの状況は、事故発生のリスクを高める要因とみなされ、同乗者がそれを認識しつつ行っていた場合、賠償額が減額されます。
好意同乗減額が認められない場合もあります。主に以下のような理由が挙げられます:
同乗者が認識していた危険事情と事故発生の因果関係がない場合
同乗者が運転者の飲酒や疲労を認識していたとしても、その事情が事故の発生に直接影響を与えていない場合は、減額が否定されることがあります。例えば、飲酒が事故原因になっていない場合や、事故の発生が他の外的要因によるものであれば、好意同乗減額は適用されないことがあります。
加害者側の過失の重大性
運転者の過失が重大である場合、好意同乗減額が適用されないことがあります。運転者の無謀な運転や居眠り運転など、加害者の過失が圧倒的に大きい場合は、同乗者の過失が軽視され、減額が認められないことがあります。
運転者と同乗者の関係性
同乗者が運転者に対して運転を制御できる立場にある場合、たとえば同乗者が運転者よりも年長であったり、運転に関する助言や指示を行う立場にあった場合、減額が否定されることがあります。逆に、同乗者が運転者に従属的な立場にある場合や、運転者に対して指示や助言を行うことが難しい状況にあった場合は、同乗者の過失が軽く見積もられ、減額が否定されることがあります。
裁判例に基づいて、好意同乗減額の程度は主に10%から25%の範囲で認められることが多いとされています。具体的な減額の程度は、同乗者がどの程度事故の発生に寄与したかや、事故のリスクをどれほど認識していたかによって決定されます。
10%~15%の減額
同乗者が運転者の飲酒を知っていた場合や、危険な運転を抑制するための行動を取っていた場合でも、減額は比較的軽微で10%から15%程度に抑えられることがあります。同乗者が事故を未然に防ぐ行動を取ったにもかかわらず、結果的に事故が発生した場合などでは、減額の程度が低くなる傾向があります。
20%~25%の減額
より重大な危険を認識しながら同乗した場合や、同乗者の行動が事故発生に直接的に寄与したと判断される場合は、減額が20%から25%に達することがあります。例えば、運転者の飲酒や無免許運転を知っていながら同乗し、その結果重大な事故が発生した場合などが該当します。
本書では、好意同乗減額が適用された具体的な裁判例が多く紹介されています。これらの裁判例を通じて、どのような状況で好意同乗減額が認められ、どのような事情が考慮されるかが明確に示されています。たとえば、運転者の飲酒を知りながら同乗したケースや、同乗者がシートベルトを装着していなかったケースでは、賠償額の減額が認められています。また、減額が否定されたケースでは、運転者の過失が重大であったり、同乗者の行動が事故の原因に寄与しなかったと判断されています。
好意同乗減額は、被害者が加害者の車両に無償で同乗していた場合に、賠償額が減額される制度ですが、減額が認められるためには、被害者が事故のリスクを十分に認識していたことや、そのリスクに対して何らかの寄与があったことが必要です。裁判実務では、運転者の飲酒や過労、反規範的な運転態度などが減額の根拠として頻繁に挙げられていますが、同乗者が事故の原因に寄与していない場合や、運転者の過失が圧倒的に大きい場合には、減額が否定されることもあります。減額の割合は10%から25%が一般的で、事案ごとに個別の判断がなされます。
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